見放されたAT互換機を再生するの記

96-08-15
友人のM君がDEC PC LPX590という一時代まえのAT互換機を
くれた。「とりあえずの状態でWindows95を入れてある」とい
う。Windows95を完全な状態で起動させることはできないかも
しれないが、その可能性もなきにしもあらずだという。こうい
われると、これを改造してやろうという気が起きる。これが、
そもそものわざわいの始まりだった。

96-08-26
なかを開けてみたら、何とPentium-60だった。しかも、マザー
ボードとCPUボードが分かれている、いまでは特殊な形状のも
の。この時代のものは、CPUの変更も大変だ。とすると、ヴィデ
オカードをヴァージョンアップしても、CPUのパワーが足りなく
てへたってしまうから、結局、意味がない。
しかし、現状で最高の機能を発揮させてみるのは悪くない。知
り合いのSさんにたずねると、ヴィデオボードを替えれば、相
当よくなるという。じゃあ、やってみるか。

96-09-02
秋葉原で、ボードを買う。Sさんのすすめで、Videoは、MGA 
Millenniumの4M、SCSIカードは、TEKRAM DC-390。それと、店
の人にすすめられて16bitのSound Blaster Boardも。

96-09-09 afternoon
一週間、忙しくて作業にかかれなかったが、頭のなかには、
DEC改造計画のことがいつもあって、今日、急に、「どうせな
ら、Windows95も自分で買って、入れなおし、全部動かせるよ
うにしてみよう」と思い立つ。ソフマップでWindows95のフロ
ッピー版を購入。

96-09-10 midnight
Windows95を入れなおす。これは、簡単。
MGA MillenniumのドライバーがCD-ROMに入っているので、まず
CD-ROMドライブを動かそうと、SCSIカードのインストールをは
じめる。しかし、がうまくいかない。
立ちあげると、TEKRAM DC-390 PCI_SCSI Controller
              BIOS v.1.53      Date:1995-6-28
以下IRQ=10などが出て、ID-LUN;0-0の表示の0-0のところが、
0-6というように変わる。
しかし、それっきり、ハングアップしてしまう。
この場合、CD-ROMドライブのコネクターをはずすと、"No BIOS 
Disk Found...."と出て、Windows95の起動に進む。
ということは、ここで、Windows95でもCD-ROMドライブに入れて
おけば、そのままのみ込んでくれそうだが、どうもそういう待
ちの状態でなないみたい。

このBios Set-upには、PCI Drive:PCI Slot 1 (~3)というメニ
ュがあって、ここのEnable DeviceをEnableにしておかないと、
上の状態は生じない。
IRQが5, 9, 10, 15, Noneの一つを選ぶことになるが、Noneを選
ぶと、上記のID-LUN;0-0→0-6(CD-ROMドライブのSCSI-IDが6
のとき)は出てこない。

TEKRAMのマニュアルには、Windows95の場合のドライバー設定は、
いたって簡単で、付属のフロッピーを使って例の、「ハードウ
ェアウイザード」と「システム」→デバイスマネージャー→
SCSIコントローラー・・・・ドライバーの変更→Tekram DC-390
 PCI Adapterの順ですぐに終わる。しかし、「成功した」とい
う表示が出ても、SCSIコントローラーの下のTekram DC-390 PCI
 Adapterにはいつまでたっても「!」マークがついたままで、
どうにもならない。コンフリクトは起きていないと出ている。

96-09-10 afternoon
マイクロシステムズに電話して、聞く。結局、わからない。し
かし、親切ではある。
Config.sysにDOSの記述があるかどうかを調べろという。
スタート→「ファイル名を指定して実行」でsyseditと入れる
と、system関係のファイルが全部出てくる。config.sysは問題
ない。
この過程で、windowsのプロンプトが、windows.000になってい
ることに気付く。どうも、いじりすぎで、どこかがおかしくな
ったらしい。
A>format c:でHDを完全にまっさらにしてからインストールし
なおすことを薦められる。

96-09-11
HDの中身をformatして、Windows95を入れ換える試み。
起動ディスクの作成のところまで行って、エラーが出ること2
回。
*(ディスク?。が終わったところで)「アプリケーションエラ
ー:SUNWINで一般値??違反が発生しました。発生した場所は、
モジュールSUNWIN.EXE 内の0002.002E番地です」というメッセ
ージが出る。何だ?
理由はわからない。
最後は、formatに30分もかかったのち、それまで一度も出た
ことがない「ボリュームラベル No. 3D18-19ED」というメッセ
ージが出た。
無事ディスク?イまで行ったが、自動的にリブートするときは、
大丈夫だったのに、一度電源を切って立ちあげたら、今度は、
BIOS Set-Upの初期状態になるどころか、ブートもせず、うん
ともすんとも言わなくなってしまった。

かつてDECを販売していたEPSON販売に電話する。営業の人の説
明だと、DEC PC LPX590は、電池を使っておらず、CMOSを取り
替えるしかないという。はずしてみると、どうも、電源供給を
電解コンデンサーでやっているように見える。これは、秋葉原
で買えるのだろうが、どんどん深みにはまっていく感じ。
いっそのこと、安い本体を買ってしまった方が、得のような気
がする。その場合、Windows95はついてくるから、それを買って
しまったのは、ムダだということになるが、この数日の体験費
用だと思えば、納得がいく。
SCSIボードの問題は、IO/PORTの幅の問題ではないかと、いう。
通常0240や0260から始まっているのを、0300~030F, 031Fなど
にしてやるといいのではないかという。しかし、「このマシー
ンは、Windows95をサポートしていないんですが・・」という
ことをしきりに言われる。

96-09-12
マシーンをくれM君が、エプソンにコネがあり、CMOSの交換を
頼んでくれることになった。ひょっとしたらSCSIの問題も解決
してくれるかもしれないという。本体を送る。

96-10-03
今週初めにエプソンからマシーンが届いたが、変わったのは、
CMOSが交換されたことだけだった。そこで、昨日からまた「格
闘」を再開。
今度は、方針を変え、(たぶんダメだろうとみんなに言われた
MGA Millenniumのインストールを先にやってみることにした。
ドライバーは、CD-ROMで供給されているので、NeXTでなかをの
ぞくと、ドライバーが見つかったので、それをフロッピーにコ
ピー。これをDECのフロッピーで取り込む。
驚いたことに、これがあっさり成功してしまう。味をしめて、
サウンド・カードをインストール。これも、うまくいき、外見
はわびしいマシーンが、一挙にフルカラーとステレオのマシー
ンによみがえる。これまでの苦労がむくわれた。

今回わかったことは、新しいマシーンには見当たらないBIOS設
定画面のなかの"PCI Slot 1-3"は、DisabledとEnabledの選択
があるが、それは、どちらにしておいても同じであること。
ビデオとサウンドカードがうまくいったのは、IRQがたまたま
いい場所にはまったからかもしれない。ちなみにに、ビデオに
はIRQ-9、サウンドは、IRQ-5に設定。

さて、懸案のSCSIはどうか?
が、こちらは、前回直面したのと同じ状態を越えることができ
なかった。
立ち上がってBIOSを読みに行ってすぐボードを認識するが、や
がて接続したCD-ROMドライブのID番号を読み、設定された番号
のところでハングアップしてしまう。ケーブルを外すか、電源
を切っておけば、"No Bios disk found. SCSI BIOS not found"
と出て、Windows95のインストールが進む。

BIOSからTEKRAMのボードの認識が始まって赤い枠が出たあと、
マニュアルの18ページにあるように、<>が出る。このとき、(すぐにハン
グアップするので)素早くF2を押すと、Set  Adapter Options
 に入る。しかし、この設定をいくら変えても無駄。

当然、立ち上がったシステムのウィンドウで見てみると、SCSI
ドライブのTEKRAMのドライバーのところに「!」のマークは、
ついていない。つまり、カードとしては認識され、機能してい
るように見える。

PCI Slotの選択をDisableにしてやると、英文マニュアルの18
-19ぺージにある赤い枠や上の記述は一切出ないで、すぐに青い
雲の出るWindows95 の画面になるが、それが消えて暗い画面に
なると、しばらくして最終的なウインドウ画面にはならないで、
そのままハングしてしまう。背後で同じことが起こっていると
考えられる。
この問題は、「CD-ROMドライブとの相性(またか!)の問題」で
はないかという風に見られがちだが、しかしながら、別のCD-
ROMドライブでやっても同じことが起こる。

96-10-04
BIOSを開くと、PCI Slot 1-3のところに次の選択肢が出る。

    Enable Device: Disabled [or Enabled]
    Device IRQ:None [or 15, 10, 5]
    Enable Master:Disabled [or...]
    Latency Time: Defaults [or ...]

上のDevice IRQをNoneにしてやると、ハングラなくなるが、こ
れは、CD-ROMを全く認識していないことと同じ。
この設定でリブートしたとき、「新しいハードウェアを検出し
ました・・・」という表示が出て、Tekramのドライバーを自動
インストールした。一応プラグ&プレイのプロセスを踏むらし
い。
しかしながら、「システム」で見ると、Tekramのドライバーの
ところには「!」マークがついている。そこで、I/Oポートア
ドレスの変更を試みるが、まだ成功しない。変更を加えるたび
に、リブート時にBIOSが認証を求めてくるから、Windows95に
からBIOSへのコントロールはきいていることになる。I/Oポー
トアドレスの変更で何とかなるのではないかという見通しはあ
る。

96-10-07

M君のアレンジで、LANカードのIRQとIO/ポートアドレスを設
定するソフトを手に入れ、無事、LANカードをIRQ=3, IO/PORT
=0300に設定し、イーサが使えるようになった。

最後に残ったSCSIだが、どうも、「手眩む」(テクラム)感じ。

BIOSにおけるPCI Portの設定は、やはり、Enabledにし、IRQ
を設定(現在10)しなければダメ。DisabledとIRQ=Noneでは、
カードもCD-ROMも接続しないも同然であることがわかる。
この場合、TEKRAMの赤枠の起動画面には、IRQ=10、IOPORT=D000h
と出る。
デバイスマネージャーの表示では、「!」はついていないが、
プロパティ→リソースを見ると、I/Oポートが違う数字になっ
ているので、とりあえずD000hにしてやる。
しかし、同じ。ID-LUNのところで所定のIDまでを読んでハング
してしまう。
ちなみに、Windows95対応のスキャナーをつないでみたが、同じ。

96-10-09
LAN が使えるようになったので、Netscape3.0とLive3Dをイン
ストールしてみた。MacのLive3Dはひどかったが、こちらは、
けっこうイケる。これじゃ、Macに先がなくなるのは、納得で
きる。
SGIのplug-in、CosmoPlayerもテストしてみたが、これよりも
Live3Dの方がはるかにいい。最近、すごく改善されたのだろ
う。
Windows95自体には、品はないけれど、優秀な「とりまき」
でカバーされている感じ。でも、「とりまき」がものすごく
増えれば、本尊の方はその陰に隠れてしまうから品がなくて
も、アホでもいいわけだ。

96-10-16
エプソン販売の人の話では、件のDecマシーンで使えるSCSIア
ダプターは、Adaptec1542CF(ISA)だけだという。Pentium-PCI
アーキテクチャーの最初期のマシーンにとって、TECRAMは、
新しすぎたのか?

96-11-16
エピローグ。SCSIカードの件は、あっけなく解決した。
ねばり強いM君の再度のアレンジで、エプソン販売のO氏と
Y氏が商売抜きでこのマシーンを点検した結果、Tekram DC-
390に一か所だけあるジャンパ・セッティングを変更すること
によって、あのSCSI IDを読みにいってハングってしまうトラ
ブルが解決することがわかったのだ。
Tekram DC-390の説明書には、このジャンパ・セッティング
は、このアダプターを複数(4枚まで可)付けるときに、最初の
ものをEnabledにし、他をDisabledにすると書かれている。こ
こでは1枚しか使わないのだから、Enabledでいいと思ったの
だが、このときは、Disableにしなければならないのだった。

ま、いづれにしても、時代後れのDEC PC LPX590が、やり方さ
え誤らなければ、立派にWindows95マシーンに変身するという
ことが証明された
わけである。